IDEA01 香りを、画面の向こうへ届ける。
IDEA 01
FRAGRANCE EXPERIENCE
香りを、画面の向こうへ届ける。
PRODUCT × PROMOTION × PEOPLE
TSURU KAWAGOEが考えるのは、
商品をつくることと、それを伝えることを切り離さないブランドづくりです。
商品やサービスそのものの価値を高めること。
その価値を、プロモーションによって正しく届けること。
そして、受け取る人が自分自身で触れ、理解し、価値を感じられること。
商品・プロモーション・消費者。
この三者を別々に考えるのではなく、それぞれの距離を近づけていくことで、プロモーションは単なる「宣伝」ではなく、商品価値そのものを育てる体験になっていくと考えています。
その考えを、実際のアイデアとして形にする。
TSURU KNOWLEDGEでは、その可能性をプロトタイプとして検証していきます。
その最初のアイデアとして選んだのが、香水です。
【今回のプロトタイプのリンクです↓】
https://perfume.tsuru-official-home.com/
WHY FRAGRANCE?
伝えにくいものから、考えてみる。
香水は、見た目だけでは選べません。
ボトルの形や色、ブランドの世界観は画面越しにも伝えられる。
けれど、その商品の中心にある「香り」そのものは、画面から届けることができません。
店頭で試香するまで、本当の印象は分からない。
オンラインでは商品画像と説明文から想像して選び、実際に手に取ってみると「思っていた香りと違った」ということもあります。
だからこそ、香水はこのテーマを考えるために適したプロダクトだと考えました。
香りそのものを届けられないWebで、商品と人の距離をどこまで縮められるか。
FRAGRANCE EXPERIENCEは、その問いに対する一つのアイデアです。
BACKGROUND
向き合った課題
香水は、五感の中でも「嗅覚」が主役になるプロダクトです。
しかし、Webサイトでは、その中心にある香りそのものを届けることができません。
一般的なECサイトでは、商品写真、価格、容量、香調などが整理され、商品が一覧で並びます。

購入するものが決まっている人にとっては合理的で、比較や購入には適しています。
一方で、まだ香水を探している人にとってはどうでしょう。
商品を見る。
説明を読む。
価格を比較する。
そこから先の「これはどんな香りなのだろう」という想像は、ほとんど訪問者自身に委ねられています。
反対に、ブランドサイトやプロモーションLPでは、美しい映像や大胆な演出によって商品の世界観へ没入させることができます。
しかし、視覚表現だけが先行すれば、「美しい」「かっこいい」という印象だけで終わり、商品を理解したり、自分との関係を考えたりする体験が不足してしまうことがあります。
そこで今回、三つの要素を同時に成立させることを考えました。
情報として、商品を理解できること。
ブランドの世界へ、没入できること。
そして、自分自身で香りを想像できること。
これは単なるWebサイトのUI/UXの話ではありません。
商品について知ることは、PRODUCTとの距離を縮めること。
ブランドの世界へ没入することは、PROMOTIONによって価値を届けること。
そこから香りを想像し、自分の生活へ重ねることは、PEOPLEが商品との関係をつくること。
この三つを一つの体験として設計することで、
PRODUCT × PROMOTION × PEOPLE
の距離を縮めていく。
それが、FRAGRANCE EXPERIENCEで検証したかったことです。
QUESTION
香りは、もっと想像できるのではないか。
Webで香りそのものを再現することはできません。
だからこそ、すべてを説明する必要もないのではないかと考えました。
香りは、記憶や経験、その日の気分によって、人それぞれ違ったものとして感じられます。
ならばWebの役割を、
「香りを正確に伝えること」から
「香りを想像するきっかけをつくること」へ。
情報を一方的に見せるのではなく、訪問者自身が触れ、選び、考える。
購入する前の時間そのものを、香水を楽しむ体験に変えることを目指しました。
IDEA
香りを、考えることを楽しませる。
今回のプロトタイプでは、
プロモーションサイト / ブランドギャラリー / 商品詳細ページ
それぞれが持つ役割を、一つの体験として再構成しています。
購入したい人を迷わせないよう、商品への導線は最初から確保する。
そのうえで、スクロールを進めたり、画面に触れたりするほど、香りの構成や背景にあるストーリーが少しずつ見えてくる。
情報を順番に読ませるのではなく、訪問者自身が興味を持った場所へ触れることで理解していく設計です。
目指したのは、情報量を増やすことではありません。
自分の中で、まだ嗅いだことのない香りを組み立てていくこと。
その時間そのものを、商品体験の一部にしました。
EXPERIENCE
香りを構成する要素から、物語が始まる。
香水には、
TOP NOTE
MIDDLE NOTE
BASE NOTE
という、時間とともに変化する香りの構成があります。
今回の体験では、それらを単なる商品情報として記載するのではなく、訪問者自身がクリックして確かめられるUIとして設計しました。
選択した要素に合わせて、背景、光、空気感、動きが変化します。
ただし、「CITRUSだから黄色」「FLORALだから花畑」といった、意味をそのまま視覚化することは避けています。
視覚表現が具体的になりすぎるほど、
「この香りはこういうものだ」
という答えを、ブランド側が決めてしまうからです。
必要なのは答えではなく、想像するための材料。
香りを説明するのではなく、香りについて考える時間をデザインする。
それが、この体験の中心にあります。
IMMERSION
プロダクトだけではなく、その背景まで体験する。
オンラインで購入するとき、もう一つ失われるのが「手に取る」という体験です。
そこで、3Dモデルを用いてボトルそのものを立体的に確認できる表現を取り入れました。
形状、ガラスの厚み、ラベル、キャップ、光の反射。
写真一枚では伝わりにくいディテールを、自分の操作によって確かめられるようにしています。
ただし、3Dを使うこと自体が目的ではありません。
プロダクトを見ている時間の中に、調香師、生産者、メーカーの思想や制作背景を重ねていきます。
誰が考え、何を選び、なぜこの形になったのか。
プロダクトのディテールと、その背景にある人の考えを同じ時間軸で体験することで、単なる「商品」から、一つのブランドとして理解していく。
技術を見せるための3Dではなく、商品への解像度を高めるための3Dとして設計しています。
IMAGINATION
最後に残るのは、使う場面の想像。
商品の特徴を理解したあとには、
「この香りを、自分ならいつ使うだろう。」
というところまで想像してもらいます。
朝。
仕事へ向かう前。
誰かと会う日。
一人で過ごす夜。
ブランドが「この場面で使う香水です」と答えを決めるのではなく、いくつかの空気だけを提示する。
その余白に、自分自身の生活や記憶を重ねてもらいます。
商品を理解するところで終わらず、自分の生活の中にその商品が存在するところまで想像できること。
それも、オンラインで購買を考えるうえで重要な体験だと考えています。
DESIGN CONSIDERATION
あえて、想像を限定しない。
この体験を設計するうえで意識したのは、ブランド側が語りすぎないことです。
香りは、人によって感じ方が異なります。
具体的な人物写真や、強い物語、意味を断定するようなビジュアルを多用すれば、ブランドの世界観は強くなります。
一方で、
「自分が使うならどうだろう」
と考える余白は小さくなります。
そのため今回のプロトタイプでは、主張の強い人物やシチュエーションを極力使わず、光、質感、植物、空間、動きといった抽象度の高い要素を中心に構成しました。
見せないこと。
語らないこと。
決めすぎないこと。
余白もまた、体験をつくるためのデザインです。
DISCOVER FRAGRANCE
商品ではなく、香水そのものを知る。
もう一つ用意したのが、メニューからアクセスできる「DISCOVER FRAGRANCE」です。
これは、特定の商品を説明するページではありません。
香水の種類。
香りの構成。
ノートの考え方。
季節による楽しみ方。
シーンに合わせた使い分け。
香水を選ぶときに知っておくと楽しみ方が広がる知識を、体験型のガイドとしてまとめています。
ここで考えたのは、商品への興味だけを育てる必要はないということです。
ブランドについて深く知ってもらう前に、まず香水そのものを好きになってもらう。
香水への理解が深まれば、
「自分にはどんな香りが合うのだろう」
「今まで選ばなかった香りも試してみたい」
という、新しい興味が生まれます。
その結果として商品へ戻ってくる。
直接的に商品を訴求するのではなく、商品が存在する文化そのものへの興味を育てることで、ブランドとの接点をつくる。
DISCOVER FRAGRANCEは、そのためのもう一つの入り口です。
WHAT THIS IDEA SHOWS
商品と、プロモーションと、人を近づける。
FRAGRANCE EXPERIENCEは、完成された香水ブランドのWebサイトを提案するためだけにつくったものではありません。
これは、TSURUが考える
PRODUCT × PROMOTION × PEOPLE
という関係を、一つの体験として形にした最初のアイデアです。
商品価値を高めるためにブランドを考える。
その価値を届けるためにプロモーションを考える。
そして、受け取る人が商品を理解し、自分なりの意味を見つけられる体験を考える。
それぞれを別々の工程として扱うのではなく、同時に考える。
すると、プロモーションのために考えたアイデアが商品価値を高め、商品について深く考えることが、新しいプロモーションの方法を生み出すことがあります。
商品をよくすることと、伝え方をよくすることを、もっと近くに。
その間にいる人まで含めて、一つのブランド体験として設計する。
FRAGRANCE EXPERIENCEは、その可能性を示すIDEA 01です。
TSURU KNOWLEDGEでは、これからも異なる商品やサービスを題材に、この考え方を具体的なアイデアとして検証していきます。